- バイオリンを弾きながら、老初・老中の弾き方がある事を発見!! でもその事の必要性を自分で自分に納得させることが難しいのです。 -

 

磯谷さんは戦時中に巣鴨で空襲に遭い、ご親戚のいる島根県の益田市に疎開されましたが、戦後はやはり東京が恋しいというご家族と共に東京に戻り、国立市で子供時代を過ごされました。職業はマイクロ波部品の開発や品質管理という、かなり高度な緻密なお仕事をされていたようです。横須賀市のマンションに住み、順調な暮らしをしていたといいます。変調を来したのは奥様が亡くなられてからの事で、その後の一人暮らしを心配された息子さんとロイヤル川口に見学に来られ、体験入居の時にこちらに決められました。
マラソンといってもね、病気のある人も参加出来る、3kmの伴走者が付くレースなんですよ。最初の時に体調が良くてね、体の調子を見るサインカーブがあるでしょ、それを見るとカーブの頂点の時だったんでそれで出てみたんです。それからはリハビリも行い4回連続で完走しました。

ここに来たのは東北大震災があった翌日なんですよ。それまでは横須賀のマンションで暮らしていたんですが、部屋は広くて周りには海も山もあって両方楽しめたし、私には理想の場所だったんです。横須賀での生活は私なりに計画通りに進んでいたんですね。でもカミさん(奥様)を亡くしてから2年ほど一人で生活してみて、不自由さも感じ始めていました。週に4回はヘルパーさんに来てもらっていたけど、やはり不安なところもあってね。

実はずっと早くから老後の事を考えておかなくてはいけないなと思い、こういうタイプの所を探していたんです。探し始めた頃は新聞なんかも”老後の生き方”についての話題が取り上げられていて、情報もいっぱい溢れていました。そんな時、京浜東北線と自分(作家)の半生を題材にした小説を読みましてね、内容がやはり老後の生活についてなんですが、これを読んでから真剣に探し始めたんです。
それから3,4年間は国立の方面を探しましたし、茨城や仙台の辺りまで見に行った事もあります。設備の充実度や建築の構造が気になるし、耐震設備の状況なんかも気にしながら検討してました。

こちらのロイヤル川口さんには2回見学に来ました。息子も気に掛けてくれて一緒に来てくれましたしね、試しに1回泊まってみたんです。まず入口に入ってきて、スロープが真っ直ぐで角が無かった、これが気に入りました。構造的にそのような造りは入居者の事を考えて設計しているなと思ったんです。そういう所を気にする性格なんですよ。全体に縦長の造りで、これは屋内で廊下を行ったり来たりするには充分な長さがあると思いました。これも気に入りました。体が弱ってくるとどうしても屋内の生活になってしまうし、かといって運動しないと体力が衰えますからね。そういうことも考えているなと思ったんです。

バイオリンを弾くんですが、年をとるとだんだんと目も悪くなってきて楽譜も見えなくなるんです。体が弱ると音も思うように出せなくなってきて、今までと同じ弾き方ではダメだと思うようになったんです。それで自分の体力に合った弾き方をいろいろと工夫します。ただ、「もう昔と同じような音は出せないよ。昔と同じ活動は出来ないよ。」と自分に言い聞かせ納得させるのが難しい・・。今、自分が一番楽しめる事を一番楽しめる方法でやろうと心構えていますね。走るのもただ走っているだけではダメ。自分が楽しくなるような走り方をしなくてはいけないと思います。

ここのところ、歯に気を付けていますね。毎月1回は歯医者さんに行って手入れをしてもらっています。歯は大事ですねらね。なにしろ歯が無くなってしまっては”話(ハナシ=歯無し)”にならんからね。